高卒の俺が・・・

高卒の俺が何とか色々もがいて生きたそんな証を此処に記す

「底辺の味」第三話

 

「お腹減った」

「あぁ!?知らねぇよ!てめぇの飯まで面倒見れるか!!大体誰のせいでこんな生活なんだよ!おら、これでも食えよ」

 

 

 

ダン!と僕はカウンターキッチン前に置かれたテーブルにカップラーメンを1つ置いた。

椅子に座ってしょんぼりする彼女は、僕の罵声を受けながらも差し出されたカップラーメンにお湯を入れ1人啜る。

 

僕はと言えば、部屋の隅でただキャベツの千切りを貪りながら怒りと焦りに支配されながら今月の収支表をノートに付けていたのだった。

 

 

収入は彼女と2人合わせて月28万程度。

だが支払いは優に30万を超えていた。

 

原因は家賃7万の新築賃貸だと決めつけていたのは、ここを借りる時に彼女の希望を汲んだから。

オシャレなカウンターキッチン。ウォークインクローゼットにバストイレ別の綺麗な1K。

 

家賃は2人で払えば3万ちょっとだからとそんな約束で借りたはずだった。

 

だが蓋を開けてみれば彼女は親に頼ることが多く、米や車のローン、クレジットカードの支払いまで親に泣きついていた。

僕も恩恵を与ってはいたが、その矛先が僕に向くのは当然だった。

 

食費も家賃もほぼ僕が払う。

 

いつからこうなったのだろうか。

それは別に支払いがどうこうだけの話じゃない。

 

 

 

ここに来た当時は一緒に料理をして、唐揚げを作って味見をし合ったりした。

バーテンダーとして働いた時の知識を活かして僕がお酒を作ってカウンターで出してやった事もあった。

 

他愛もない話でよく夜中まで語り合った。

 

 

そう言えばこの家に来る前も幸せだったように思える。

都下の安っぽい1Rのアパート。

元々一人用で借りたものだった。

 

その頃から別に給料が良かった訳では無いが、その頃は新卒で僕はきちんと社員だった。

彼女は僕がよりを戻して欲しいと頼み、田舎から呼んで一緒に暮らし始めたのだ。

そんな初めての土地にもかかわらず普通にバイトをして家事も頑張ってくれていた。

 

帰りには駅まで彼女が迎えに来てくれて、家までたこ焼きを買って食べながら帰ったりもした。

僕の誕生日にはケーキを作ってくれた彼女の笑顔は、今でも脳裏にしっかりと焼き付いている。

 

 

 

「くそ!クソ!金が足りねぇよ!今月もマイナスだよ、どぉすんだよぉぉ!!」

 

だがこの時の僕にはそんな思い出も、感謝も、愛も、全て金と怒りに支配され見えなくなっていたんだ。

 

 

喚き散らす僕の背にはただ、僕が与えた1つ100円程度のカップラーメンを啜る彼女が静かに佇んでいた。